これってウチだけ？共通略語だと思ってたらガラパゴスだった言葉

あらゆる業界に業界用語がある。その業界の中では通じるけど、業界の外の人たちにはわからない言葉、それが業界用語だ。たとえば飲食店では、お客様をテーブル番号で呼び表わすことがあるが、この時存在しないテーブル番号は「トイレ」を意味する……だとか、接客業ではよく来てくれるお客様を「五八様」と表現する（五×八＝四十で、始終来てくれるお客様ということ）……だとか。もちろんSE業界だって例外ではない。例外ではないどころか、技術に詳しくない人によっては、技術者であるSEの使う言葉はほぼすべて専門用語ともいえる。 そんな中でも多いのが、略語。そもそもからしてITやSEという言葉が略語なのだ。 ところで、SE業界で使われている略語、本当にそれ、他の会社の人に通じるのだろうか。SE業界全体に通じる共通略語だと思ってたらウチの会社内でしか通じないガラパゴス語だった……なんてこと、あるのでは？　ここではそんな言葉を集めてみた。

SE業界では「グループミーティング」の略として使われる例が多いようだが、同時に「ゼネラルマネージャー」を意味する場合もある。「ゼネラルマネージャー」の場合、例えば「野口GM」のように必ず人名をつけるようにすれば間違いを防げるが、ついつい忙しい中では「GM」とだけ表現してしまい、トラブルを生むことがある。ちなみにオンラインゲーム系だと、ゲーム内のイベントを取り仕切る担当者である「ゲームマスター」を意味する場合もあり、3つのガラパゴス文化圏のSEが集まって略語のまま会話したら、相当混乱することは言うまでもない。

SE業界では、プログラム単体の動作を確認する「プログラムテスト」の略として使われる……と書くと、とてもごもっともなように見えて、全体プログラムが完成した後に全体の動作を検証する「パフォーマンステスト」の略として使われることも。共通略語として通じると思って、つい外部向けスケジュールに「PT」と略語で書いてしまうと、「ガラパゴス語ってあるよね～」なんて、笑って済ませられない事態に発展することも……。

SEだったら誰もが「アプリケーション・サービス・プロパイダ」のことだろ？と思うはず。ところがネット広告業界では「アフィリエイト・サービス・プロパイダ」と使うことがあるようだ。ちなみに「アプリケーション・サービス・プロパイダ」は、アプリケーションの機能をネットワーク経由でサービス提供している業者のこと。一方「アフィリエイト・サービス・プロパイダ」は、アフィリエイト広告の配信機能をネットワーク経由でサービス提供している業者のこと。意味は大体一緒だから、さほど齟齬が起きることもなさそう……？

自分自身で解決できない案件について、上司に上げて対応してもらうこと＝「エスカレーション」の略語。サポートセンター等問い合わせ対応をメイン業務とする業界で使われることが多いようだ。ただ「エスカレーション」ならまだしも「エスカ」と略されてしまうとガラパゴス度が高い。言葉の意味を調べようと「エスカ」で検索しても、名古屋の地下街やゲームキャラクターの名前がヒットしてしまうので、悩んでしまう人も少なくないのでは……？

一般的には商品などをプロモーションする動画「プロモーションビデオ」のこと。ただSE業界にいると、WEBサイトのページが何回見られたかを示す指標＝「ページビュー」のことだとすぐわかるだろう。これくらいならまだ共通略語として通じるためガラパゴスとは言えなさそうさだが、動画を使ったWEBコンテンツが増加している昨今、動画が何回再生されたかを示す指標＝「プレイビュー」もPVと略す。同じことのように思えるが、動画が掲載されたページが見られても、そのページ上の動画が必ず再生されるとは限らないわけで、指標としては完全に別。さすがにしないだろうが「PVが掲載されたページ、PVは発生しているのにPVは上がらないね…」なんて使い方したらガラパゴス度高すぎる……。

SE業界で使われているガラパゴスな略語を見てきたが、単純に言葉がガラパゴスというのではなく、本来一般的な単語を、それぞれの会社がガラパゴスに略しているケースが多いようだ。そして独自の略語を共通略語のつもりで用いた結果、相手は相手の知っている意味で理解してしまうという状況が発生してしまう。場合によってはトラブルの原因となることもありそうだ。笑い話ですむトラブルであればいいが、場合によってはプロジェクトの結果に影響を与えるような事態に発展することもあるかもしれない。SEとして仕事に取り組む上では、略語を聞いたら「それ、どういう意味ですか」と確認するのが無難と言えるだろう。